2013 年 8 月 20 日

「女性のファーストキャリアを考える」ビービット取締役武井由紀子さんインタビュー

by koji


アクセンチュアキャリアデザインセミナー「女性のファーストキャリアを考える」開催に先立ち、ゲストパネラーとしてご登壇いただくビービット取締役武井由紀子さんにお話をお聞きしました。



武井さんがいま、2人のお子さんを保育園に預けながら取り組んでいる新規事業というのはどんな事業ですか。

一言で言うと、企業自体を顧客志向化する事業です。

顧客中心でウェブを改善する取り組みは時代を捉えていますし、マーケティングと心理を扱ったり、その成果がダイレクトに出てお客様の利益に貢献できる点等、とてもやり甲斐があるのですが、一方でその会社の商品や体質に課題がある場合には、それがウェブにも反映されてしまい、そのことで成果が思うように上がらなかったりして歯がゆい思いを感じていました。

そこで、ウェブでやっていた顧客志向の考えを企業活動全体に取り入れれば、顧客も企業も社会もよりよくなって良いのではないかと考え、それを弊社の次のビジョンに掲げて新規事業開発をスタートさせました。企業そのものが顧客志向で回って行くにはどうすればいいのか、もう少し企業が顧客志向で活動が回るようにするにはどうすればよいのかについて日々探求しています。

顧客志向で活動すると利益があがるということを証明するというのが、最初のステップとしてあります。結果が出ると、次は、組織全体として継続的に顧客志向で活動できるよう変革していこうという段階になる。それはNPS(ネットプロモータースコア)の導入かもしれないし、理念を変えることかもしれない。あるいは朝礼のやり方を変えることかもしれない。手段はいろいろありますが、組織内定着化という2ステップがあるととらえています。私は、顧客志向による収益改善のやり方にどういうことがあるのだろうかということを考え、R&Dやトライアルプロジェクトという形でお客さんと一緒に取り組んでいます。

実際に顧客の顧客志向の現状を調査して、フィードバックを回して行くことをやっているのですね。

そうですね、実際に顧客志向についての調査のフィードバックサイクルを回した時に利益が上がるのだろうかということにチャレンジしています。ビービットの次の30年を創る取り組みに本気で取り組んでいます。

武井さんのお話をお聞きしていると、自分たちがやりたいことをやっているというよりも、時代に突き動かされているという感じがしますね。

それはありますね。いまちょうど、いろんな文献に、顧客主義とかステークホルダー主義とか株主資本主義の限界といったような論調が出てきています。顧客志向を大切にしている成功企業の事例が出てきています。たとえば、デルコンピューター、アップル、アマゾンなどが成功している一方で、古い体質の企業が苦しんでいる。ちょうどいいタイミングなのかもしれません。

新規事業へのチャレンジということで仕事的にはハードな日々ではないですか

そうですね。子供がいますが、残業も増えてきています。ミィーティングや報告会の前日は残業することもあります。

お子さんは保育園の延長保育ですか?

延長保育では足りないので、実家が近いので親に頼って「申し訳ないけど9時迄みてて!」みたいな感じでお願いしています。実は、わざわざ引っ越してきました。親を求めて、そのために引っ越してきたんです。

お孫さんに逢えるからご両親も喜んでいるのではないですか。

二人も見てもらっているので、クタクタになっています。(笑)週に2回くらいサポートしてもらっていまして、本当に助かっています。

いまのこの状況は学生時代に想像していましたか。

全然想像していませんでした。なんにも。(笑)

新卒で就職する時に、コンサルティングファームのアンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入るという意思決定はどのようにして決めたのですか?

就活の時に、やりたいことをとことん考えたのですが、結局見つかりませんでした。どの仕事も面白そうだけれど、どれも想像がつかない。教育系の会社で事務のアルバイトをしていて、そちらの会社から就職しないかとお誘いを頂いていたのですが、その分野に興味があるという訳でもなく、お断りしました。

色々考えても、よくわからないので、消去法的に就職先を絞って行きました。メーカーのモノづくりには当時あまり興味が湧きませんでした。それよりは、自分が商品になるのがおもしろそうだなあ。どうやら、それはコンサルっぽいぞ。ゼミの先輩が3人アンダーセン コンサルティング(現アクセンチュア)に行っていた。先輩から話を聞いてみて、アンダーセンはいい会社だなあと思ったので、それでコンサルを考えるようになりました。また女性だと外資の方がフェアかなという印象で、ベタですけど、外資金融も受けていました。エリートだとか言って、憧れで受けていましたね。

メーカーには興味が持てないとは言いながらも、外資のメーカーでHPなどを受けていました。日本の銀行もゼミに先輩が多かったので、受けていましたが、私には合っていませんでした。就職活動の中で拘束をされるとか、私には無理と思って、諦めました。

コンサルティングファームを受けたのも、アンダーセン コンサルティング(現アクセンチュア)とトーマツ、ローランドベルガーくらいを受けたくらいでした。コンサルに絞ったというよりも、自分に合いそうな会社をいろいろと受けているうちに、コンサルティングというフィールドとの相性が合いそうだなと思うようになりました。そして、最終的には先輩が活き活き働いている様子と人事の方がとても丁寧に接して下さったので、ここはいい会社だと思って決めました。

けっこう多いですよね。やりたいことが絞りきれずに、可能性を無限大に広げておくという選択をして、コンサルティングファームへという人が。

まさにそれですね。(笑)本当に、やりたいことが見つかったらどれだけいいのだろうと思っていました。

外資系の方が女性に対してフェアだというのは実際いかがでしたか。

外資の方が女性に対する扱いがフェアだと思います。日本の会社のいろいろなお客さんと見ていて感じたのは、女性も一生懸命頑張っているということ。でも、新卒採用の人数比率を見ていると、女性は辞めてしまうと言われても仕方ない状況になっているように思います。

就活をする時に、女性である事を意識して、考えたりすることはありましたか。

あんまり考えなかったですね。先の事を考えすぎてもよくわからないやと思っていました。それでよく受かったなと今では思います。よく、外資系の会社では、キャリアプランを書けとか言われますよね。一応、そういうのを書くのですけど、結婚できなかったらこのキャリアプランは壊れるし。結婚なんて相手のいることだし、子供ができるかも分からないし、今考えてどうするのだろうかと思ってました。

だいたい、2-3年後のことであればイメージできるので、いまそこに集中して頑張ればいいじゃんという風に思ってやってきました。人生は、それの積み重ねなんじゃないかなと思っています。

私は、子供が大好きで、兄弟が一回りはなれているので、赤ちゃんの可愛さも知っているので、こんなかわいい子を置いて仕事なんで行けないんじゃないかなと思っていました。それも分からないんで、必ず仕事してバリバリやってパートナーになりますとも言えないので、その時になってみて考えればいいんじゃないかなあと気楽に考えていました。ただ最初のうちは力をつけた方がいいので、厳しい環境で2~3年頑張ってみようと考えていました。嫌ならやめればいいわけですし。

今に集中して、長くても2-3年先の未来を見て頑張るというキャリア戦略ですね。

実際、それくらいしか、よくわからないですよね。

コンサルティングファームに進む人や、ベンチャーを起こす人のマインドセットはこういう人が多いような気がします。

そうですね。先々しっかり考えて動きたいというタイプだと、想定外が起きた時に止まってしまいますしね。もちろん、計画とかビジョンも重要なんですけどね。

あと、一つ思っていたのは、コンサルタントの道を進むのであれば、自分の名前で仕事を取れるくらいまで頑張りたい、負けたくないなあと思っていました。やれる限りはやってみたいと思っていました。

ということは、新人のころはバリバリやっていたんですね。

私はアサインが良かったと思います。そして、上司に恵まれました。ただ、最後のプロジェクトはきつかったです。(笑)最初の仕事はあまり残業もなくて、お客さまもとても良いお客さまで、いろいろ学ばせていただきました。2つめのプロジェクトは、マネージャーが10人にアナリストが3人という特殊なプロジェクトでした。このプロジェクトでは、マネージャーが手厚く見てくれたので、いろいろなことを勉強させていただきました。

でも、あの環境にいると、自らセルフスタートを切らないと行けない状況になるので、かなり、危機感をもって仕事をやってました。当時は、日曜日は9時に寝てました。月曜からの1週間を考えて、小学生かっ私と思いながら・・・笑。

アクセンチュアには何年在籍したのでしょうか。

結局2年です。3つのプロジェクトに関わりました。2年目の最後には簡単な事業プランが書けるようになっていました。自分で勝手にネットを使った事業はどうだろうと書いていました。

エクセルとかパワーポイントなどを使ったドキュメンテーションを作成する力は凄くつきますよね。

ビービットの創業当時は、それで食べることが出来たと言っても過言ではありません。そして、インターネットという若手でも勝負できる新しいフィールドで勝負したということと、コンサルティング能力の基礎、そして、ユーザビリティという武器をもったことで生きていくことができました。本当にファーストキャリアでの経験には感謝しています。厳しい環境にいて本当に良かったと思っています。

就活に取り組む女性から、結婚もあるので、20代頑張って、力をつけておきたいという話を良く聞きますが、そういう人にとって理想のキャリアになっていますね。

そうですね、私の場合は、意図せずできたという感じですね。

起業する時に悩むことはなかったですか

悩まなかったですね。なんで悩まなかったよく聞かれます。アクセンチュアでコンサルタントとして働き続けても良かったのですが、起業にチャレンジすることがおもしろそうにみえてしまったんです。当時、インターネットの可能性が凄いと思っていたので、一人でもやりたいと思っていました。親が会社をやっていたので、親の会社に入って、インターネットで何かをやろうかなと思っていたところに、遠藤に誘われました。新しいことにチャレンジする道に行ってみようと思いました。そこで新しいことが学べるだろうと思いました。

あの頃は、起業する人が多かったですね。

退職する面談で、面談をしてくれたパートナーが実は私も近々辞めると言われて驚きました。

会社を作ってからしばらく混沌としていましたよね。漫画のサイトとか、意思決定支援エンジンとか考えていましたよね。

実はあの漫画のビジネスのアイデアは売れたんです。アニメのソフトを創っている会社とご縁を頂いて、アイデアを提供しました。その会社はその後、上場までされています。

起業してからいろいろ学びましたね。優秀な人を集めてみたものの、やっぱりみんなやりたいことが少しずつ違っていて、なかなかやりたい事が決まらなかったり、少しバブルだったこともあって、そのバブルに踊らされていたという状況もあって、出資受け入れるかどうかで議論になったりしていました。

顧客視点という新たな取り組むべきテーマが見つかったというのも、子供がいてもビービットを続けて行くということに影響があるのではないですか。

私は、どんなに突き詰めても、自分にやりたいことがない人間なんです。やりたいことがないというよりも、人や社会の役に立って、夢を持った人の夢を実現させたいだけなんです。また、目の前の課題を解決するのが大好きなんで、小さいものから大きなものまで、それを目の前に渡されると、解決したくてしょうがないです。その問題解決のパズルを解きたくて、燃えてしまいます。ベンチャーなので、常に課題だらけなんで、なかなか辞めるタイミングがないという感じですね。

実はビービットの経営陣はこのタイプが多いかもしれないですね。

就活生で、やりたいことがなくて悩んでいる人がとても多いです。

「いいのよ、やりたいことなんてなくても」って言ってあげたいです。それは色々経験して見えてくることですし、「これだけ会社をやってきて、大人になったんだけど、私個人としてやりたいことはない」とはっきり言えます。

いろいろなことに興味はありますけどね。逆に言うと、何でもおもしろそうに見えてしまう。どれか1つに絞れと言われると困ってしまいます。

武井さんは、やりたい事がなくって悩んだことってないですか?

就活のときも、大学選ぶ時も悩みましたね。どれもおもしろそうに見えるけど、どっちつかずで、コンプレックスに感じますよね。突き進んでいる人がかっこ良く見えるので。そうじゃない自分はなんなのみたいに思っていました。

やりたいことがなくてもいいんだと自分を受け入れることができたのはいつ頃ですか。

ビービットをやっていて、役員会議などで色々議論したり、他の人の考えに触れたり、また子供ができて仕事のことを見つめる時など、色々な経験を経てですかね。

ビービットのビジョンも好き、理念も好き、夢を感じる、これを実現したい。それでいいんだ。経営学とかイノベーションの本を読むと、「一人ではできない。イノベーションを起こす時には実は10人の人が必要である。一人ではできない。リーダーは過大評価され易い。支えている人は過小評価されやすい。支えてくれている人をないがしろにしては行けないし、そういう人がいないと物事は動かせない」と書いてあった。あー私はこちら側の人間だと、やりたいことが、リーダーの夢を叶えるでもいいんだと自己肯定できたのは会社をやりながらですね。

支えるタイプの人は、これやろうぜと言ってくれるリーダーとの出逢いとか、そういう仕事がある会社を見つけることは重要ですね

そうですね。自分と同じ理念とか夢を持っている人をさがしたりとか、共感できる人を捜すのは大切ですね。弊社の社長とはアクセンチュアでの最初のプロジェクトが一緒でした。プロジェクトの仲間ですね。彼は第二新卒の10月入社で、私は新卒5月入社ですので、ほぼ同期ですね。その時に、仲良くなって、プロジェクト後も一緒にご飯を食べたりしていました。

私はインターネットに興味があって、彼はテクノロジーグループに所属していて、インターネットのことをよく聞いていたことから、私はネット興味がある人認定されたんだと思います。

そして、彼が起業しようと考えた時に、ネットに興味がある人は誘ってみようということで、「手伝わない?」みたいな感じでお誘いを受けました。

武井さんは、大きなやりたいことはわからなかったけど、インターネットには関心があったということですね。つまり、大きなやりたいことを見つけなくても、ちょっとした関心ごとがあったら、実際に動いて、自分の中だけで完結するだけではなく、良さそうな人には声をかけて「教えてください」と伝えていると、いい流れが創れるということでしょうか。

明確にやりたいことがあったわけではないので、偶然の出逢いとか、予期せぬ成功とか、そういうものを大切にできるということはありますね。これしかやりたくないではなくて、こんなことはやりたいし、これも、これも、みたいな感じで、広く見てられるので、それは、あるかなと思います。こだわりのない強みみたいな感じ。

ちょっとした関心ごとがあったら真剣に聞いてみる、これはある種コンサルタントの癖ですね。これで遠藤さんのインターネット好きな人認定フラグがったんですね。今は、ビービットでやっていることは、自分のやりたいことになっていますよね。言い出しっぺは遠藤さんだけれど、夢をサポートをすることがやりたいことであるという状況になっていますね。

そうですね、貢献できればいいなあとずっと思っていて、自分のスキルで貢献できそうだなと思っています。

起きた出来事をどうにかしてやって行くしかない、という話ではあると思います。最初の新卒の時のファーストステップでの選択が、その後に起きてくるご縁を全部引き寄せてきている訳ですし、アクセンチュアでの3つのジョブで得たスキルがいまのベースになっている。そう考えると、ファーストキャリアは極めて重要ですね。しかし、そのときの武井さんの意思決定は、実際にはたまたま先輩が何人も行っているとか、決めきれないからだとか、外資系でかっこよさそうだとか、割とふわっと決めてしまっているので、今振り返ってみると胸をなで下ろしてしまいますね。良かったなあと。

今思うと、自分の選択が正しくなるよう努力するみたいなところはありました。最初からベストな選択なんてできないので、後付けでいいので正しくしていく、仕事を好きになるというのもまた必要だと思います。

あと、個人が強くなれそうだなあと思っていました。そういうところに行きたいと思っていました。「自分が商品になりたい」と思っていました。

そうか、だからメーカーではなくて、コンサルティングだったんですね。

そうですね、メーカーだと「これ創りました」になってしまって、今だとこれもいいなと思えるのですが、当時の私は、そこには興味がなかった。「自分自身を磨きたい」みたいなことを考えていました。

メーカーでお仕事されている人のマーケティングスキルとか、生産管理のスキルは凄いということは、今となっては分かるけれど当時は分かりませんでしたからねえ。

女性のファーストキャリアを考える上では、「個人が強くなる」というのがキーワードになりますかね。

企業にいたら安心とか安定とかはないですよね。そう考えているとしたら、その考えが超依存体質で超不安定だと思っていて、企業に所属していようとも、いなくても、個人として強くないと、会社なんてつぶれてしまう時代なので、本当に不安定です。ファーストキャリアって真っ白いキャンパスに色を塗られるので、どの会社に入るのかはとても重要。そこで規定されてしまう。特に女性は20代の最初は1年でも2年でもいいので、厳しい所に行った方がいいかなとおもいますね。若いうちは無理できるんで。なんで最初から楽な所にいくのかなと思いますね。

アクセンチュアでは新人のうちからお客様の変革を期待され、仕事をするので、責任が重い分、ここで頑張って働ければ、成長できると思った。

一方で大企業に行った大学の同期に会ったりすると、「この一年コピーとりしかしていなかった」と言っていました。人数も多くて、仕事も細分化されているので最初から責任ある仕事はできないとも。

これは、どちらが偉いとかではなくて、それぞれに期待されている役割の違いですよね。変革を期待されている人と、ある程度完成したオペレーションとルールに従ってビジネスを続けて行く人の違いですよね。武井さんの話を聞いて友達はあせっていませんでしたか。

その同期はその会社を辞めてしまいました。その会社の仕事の矛盾を感じて、アクセンチュアに転職してきました。

アクセンチュアのような厳しい環境に行くのは厳しいのではないかと思っている人に何かアドバイスはありますか。こんな人は向いてない人というのはありますか。

これがやりたいと想いが強すぎる人は向いていないかもしれませんね。アサインも常に希望通りというわけでもないでしょうし、上司だって誰になるか分からないですし、いろんな人が沢山いるので、どんな出会いであってもそれを受け入れられる、いい意味で多少ちゃらんぽらんなところがあったほうがいいですね。

これからの時代を考えると、こうだと決めすぎてゴールに向かって行くと、前提条件がいろいろ変わってしまうので、変わった時に、こっちも面白いかなとケセラセラでやれないとかもしれないですね。

そうですね。機敏に動けた方がいいですね。大変だと皆さん思っていると思いますが、自分は何を思ったかというと、どんな仕事でも、嫌な事があるだろうな、ということ。私も学生時代に4年間塾の仕事をしていて、いろいろと嫌な事もあった。マクドナルドでバイトしている友達もいやなことがあったという。自分がいる世界の中で、いろいろ嫌な事がある。それは比較できないので、もしかしたら、アクセンチュアのような厳しい環境に入って感じる嫌だなということは、バイトやっていてお客さんに怒られたいやだなということとあまり変わらないだろうなと思って、ならどこでもいいじゃんと思ってました。安定していると言われている会社で思う「いやだな」ということも大して変わらないかもしれないし。比較することができなくて分からないことは考えてもしょうがないと思っていた。

実際に入ってみてどうだったんですか。

いやだと思ったことはなかったですね。睡眠不足とか徹夜ということは日本の企業でもありますからね。「労働基準法に関わって3日徹夜しているってどうなんだろう」と言って辞めてきた官僚出身の先輩がいました。

安部政権では、女性の活躍によって経済をよくして行くという方針が出されていますが。国が女性の活躍を支援するために何をするべきだと思いますか。

いろいろ国が制度改革などやっているみたいですが、制度ばかりが先走ってもうまくいかないように思います。マインドセットの部分も大きいように感じます。シェリル・サンドバーグが著書「LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲」の中で言っていましたが、男性と女性が同じ事を言っても、男性が言った方が素晴らしい経営者と言われて、女性が言うとどん欲な人だと思われてしまうそうです。女性が活躍することに、男性も女性もポジティブな感情を抱かないという傾向があるようです。「女性はがつがつした人と評価をされてしまう。そういう風に見えてしまう。」という傾向があるということをみんなが認識することから始めないといけないと思います。女性が活躍する事に対してバイアスがかかってしまうので、そこから変えて行かないといけないと思っています。制度とか仕組みをいくら作っても女性が活躍することを社会があまりポジティブに評価していない。正当な評価がくだらない。けっこう根深い。女性もそれを何となく分かっているので、尻込みをしてしまう。私もあまり出しゃばらないようにしたほうがいいのではないかと思ってしまったりすることがあります。

たとえば、金融機関向けのセミナーでは私がしゃべらないほうがいいのではないかと思ったりしてしまう。結局私が話す事になって、話したのですが、話す時には、経歴からしっかり話をしています。そうしないと、信頼してもらえないのではないかと思っている自分がいけないのですが、実際にそのような行動をしています。そのようなことがバリアになっているとお思います。

男性が持っている気持ちも、女性自身が自分をどのように思っているかも大事なんですね。女性が活躍している会社というのは、そういうバイアスが少ない会社なんでしょうかね。

そうですね。アクセンチュアはないですよね。男女関係ないですね。「あの人活躍しているね。そういえば、たまたま女性だったね」という感じですよね。

ビービットはいかがですか?

フラットな会社です。アクセンチュア出身の人が多いからかもしれません。実際、女の人の方が出来る部分というのがあるので、価値を出せば、性別も年齢もどうでもいいというところがありますね。

女性に対するバイアスを解消にするにはどうすればいいでしょうね。

そういうことがそもそもあるよというところから、みんな学ばないといけないんだろうなと思っています。私も、このような分野の研究の結果を知って、すこし楽になりました。

就活で、やりたいことが分からなくて悩んでいるという人に対して、私がよくアドバイスしているのは、やりたいことについては、仮説でいいので、とりあえず決めたことをやって見てはどうかなと言っています。大人と会話する時やアドバイスをもらう時に「やりたいことが何もなくて、なんでもありなんですよね」と言われてしまうと、アドバイスする側の大人としても、何をアドバイスすればいいのか困ってしまうので、仮説でいいので、やりたいことを決めて動いて見る方がいいと思います。武井さんから、自分にあった企業を探している人にアドバイスはありますか。

私がよく言っているのは、辞めて行く時や会社で苦しい時というのは、人間関係が多いということです。法人にも「人」の字がつくよう、人格があって性格があるので、相性があっているかどうか、つまり、理念とか価値観に共感できるかどうかだと思います。それがミスマッチだと入ってから苦しそうだなと思います。この部分の相性はよく見た方がいいと思います。

アクセンチュアがいいなと思った理由は実は、中村さんという人事の方と話をしていて、対応がとてもフェアだったことが一つの理由です。

就職活動で金融業界の方と話をしていて「この日程に来れないということは他を受けるんですか?うちが第一希望なら来れますよね?」と言われてしまったのですが、アクセンチュアの中村さんは「あっ、その日程がだめであれば、こちらは、こちらは」と当たり前の対応をしてくれました。その時に、こちらの対応がいいなと思いました。

銀行の場合は「この日に来てください」と言えば「はい、行きます」と答えられる人を求めていたので、そういう人で人でないと合わなかったのだと思います。

企業との日程調整一つとってもみても、その会社のことが見えるので、そういうのを大事をしたほうがいいですね。やりたいことが見つからないのであれば、会社との相性があうかどうか。ここが合わないで入社してしまうと、入社してから苦しむことになるはずなので、気をつけないといけないですね。

知名度とか、家族の意見とかよりも、カルチャーフィットとか相性はとても大切ですね。

「何とするかよりも、誰とするか」は私にとってとても重要なことです。何をするかは時代によって変わっていきます。もちろん、ビービットも変わってきています。コアの部分は変わらないにしても、会社はどんどん変わって行きます。だから、やることが変わっても、一緒にやれる仲間がいるということは凄い重要なんです。アクセンチュアに入って金融のプロジェクトがやりたいと言っても、なかなかアサインされないこともありますが、この仲間とともに企業変革したいと思えているのであれば、救いがあるかなと思います。

今日は、セミナーの本番前に深いお話をお聞きすることができました。今回開催するアクセンチュア×ジョブウェブキャリアデザインセミナー「女性のファーストキャリアを考える」にて、女性に対するバイアスがあるということを共有することができると状況を一歩進めることができるかもしれないですね。

武井由紀子氏プロフィール

株式会社ビービット 取締役


早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)を経てビービット設立に参加。金融機関、製造業を中心とする大手企業、およびウェブ先進企業へのコンサルティングに加え、ユーザ中心のデジタルマーケティング手法の開発に携わる。また、企業が科学的にマーケティングを行って確実に成果を創出するための広告効果測定ツール「ウェブアンテナ」の事業運営にも携わった経験を持つ。著書に『ユーザ中心ウェブビジネス戦略』、『ユーザ中心ウェブサイト戦略』(ともにソフトバンククリエイティブ)などがある。2006年に結婚し、2008年に長女、2011年に長男出産。長女は早産のため生後1か月入院、長男妊娠の際には、妊娠中盤から自身が長期入院、その後自宅絶対安静を言い渡されるなど、トラブル続きの妊娠・出産を経験。それぞれ産後は1年、8か月の育児休業を取得し、仕事復帰。現在は2人の子供を保育園に預けながらビービットの新規事業開発に従事。


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