2010 年 1 月 7 日

「就活」時代の終わりの始まり

by koji

私はもはや「就職活動」の時代は終わったと考えている。

人は仕事をすることで幸福になれるし、仕事ほど面白いものはないと私は思っているので、学生諸君が「職に就く」ことにはもちろん賛成である。しかし「就職」は別に大学を卒業した瞬間でなければできないものではない。高校時代から働きながら勉強している人はいくらでもいるし、社会人が大学や大学院に通うことは日本社会でも普通のことになっている。大学に通いながらビジネスパーソンとしてもバリバリ成果を出す「プロ学生」がいてどこが悪いのだろう。大学を辞めてしまっていったん就職し、やりたいことが見つかったらまた大学に入り直したって全然構わない。

要するに大学生が仕事に就くのに、いわゆる年中行事としてのよーいドンの集団的「シューカツ」をする必然性など、実はないのだということに気づいてほしい。この日本の新卒就職という文化は数十年も続いているものだし、この「新卒就職」をタネにビジネスをしている会社もたくさんある。私もその一人である。採用する企業の側にとっても、均質的で大量の学生が一時期に採用市場に出てきてくれる新卒採用は効率がよく、コストや時間、労力の大きな節約になるという今までの常識に縛られている人事担当者は少なくない。大量に集めて、絞り込んでいく採用活動になっているために、「学生に対して個別対応はしたくてもできない」というのが人事担当者の本音である。

しかしどう考えてみても、日本全国の大学生が一斉に仕事探しをするというこの「就職活動」の風習はすでに時代に合わなくなってきており、制度的に無理がきている。就職、つまり「自分が一生どんな仕事をして生きていくか」というテーマは、一時期の「シューカツ」だけで決めるべきものではなく、生まれた時からずっと考え続けるべきものである。そして死ぬまで一生続くのである。たまたま日本経済の高度成長期が、大手企業の人材獲得の制度化と合致した時期があったために、一斉スタートの「就職活動」という習慣が年中行事化したに過ぎない。

しかし、いまや企業の発想は変わってしまったのに、学生やその親の意識が変わっていない。企業が人を判断する基準が変わってしまったのに、受験生とその親は相変わらず偏差値の高い大学に入れば、有名大企業という「出口」が待っていると信じ、そこに入るために多大な時間や金銭、労力を費やしている。つまり、中学・高校・大学と続く受験の世界でいい点数を取るための努力と、大学を卒業して以降、企業社会でいい成果を出すための努力がズレてしまっているのである。企業も同じだ。新卒を一度にたくさん採用し、みんな一緒に定年まで――という今までの採用の常識やパターンにとらわれて、求める人材のレベルが変化しているにもかかわらず、採用の手法は今までのやり方を繰り返している企業が多いのが現実である。

このズレに気づいて、それを自分から修正できた人が就職活動に成功する。修正がうまくできない人や、ズレそのものに気づかない人は、就職活動で満足できる結果を得ることができない。しかし残念ながら、現状ではこのズレに対応できている人は、詳しくは後述するが、全体の五%ほどしかいないのである。また、いち早くこのことに気づいた採用担当者が既に思い切って採用のやり方を変えている企業は、採用活動で満足のいく結果を得ている。

学生も、企業の採用担当者も、戦い方を変えなければならない。

明日は勝負はスタート時点でついている(01/08)です。

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目次



はじめに(12/24)

第1章「就活」の時代は終わった
「就活」は賞味期限切れ(12/25)
誰が次世代の人材を育てるのか(12/26)
企業への「所属」は頼りにならない(12/27)
安定とは休みなく進化しつづけること(12/28)
終身雇用と新卒採用は一体だった(12/29)
有名大学至上主義の背景(01/04)
なぜインターンシップが増えたのか(01/05)
変わる個人と会社の関係(01/06)
「就活」時代の終わりの始まり(01/07)


第2章「就活」の<ステップ0>
勝負はスタート時点でついている(01/08)
料理のおいしさは素材で決まる(01/09)
すぐに<ステップ0>を始めよう(01/10)
就活の「早期化」はほんとうに問題なのか(01/11)
学生のキャリア意識の高まり(01/12)
研究室と企業の関係(01/13)
人を育てる機能をどこが担うか(01/14)
企業から人材育成力が失われた(01/15)
みんなで人を育てよう(01/16)
「学び」と「仕事」を共存する(01/17)
「プロ学生」の時代がやってくる(01/18)
社会で役割を果せる力をつけろ(01/19)




目次の続きはこちら


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2 件のコメント
2010年1 月 7日
アトラス塩浜 permalink

大賛成です。
よろしければ、私のブログにて
1 上記文章を転載し、
2 リンクを貼り
3 本を紹介したいのですがいかがでしょうか?

2010年1 月 8日

アトラス塩浜さん
コメントありがとうございます。
ブログでのご紹介大歓迎です。
誠にありがとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

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