2010 年 1 月 6 日

変わる個人と会社の関係

by koji

終身雇用の崩壊が、まず「定年退職の早期化、曖昧化」という出口の部分で始まり、次にはインターンシップの普及という形で「入口」部分でも「曖昧化」が始まっている。こうした変化の波は若手人材の位置づけにも大きな影響を与えている。

そのひとつの表れが、「第二新卒」という概念が完全に定着したことにも見られる。

第二新卒とはご承知のように新卒で就職したものの、数カ月から三年以内にその会社を辞め、転職の人材市場に出てきた人のことをいう。昔、終身雇用が全盛の時代であれば新卒で入社して短期間で辞めた人には、強いマイナスイメージがつきまとったが、現在ではそうしたネガティブな語感はほとんどない。それは新卒で就職しても三年以内に退社する人が四割(三七%/厚生労働省二〇〇八年度調査)にも及ぶという状況を迎え、「一斉に入社、一斉に定年」という終身雇用の習慣における「入口」部分もガラガラと崩壊しつつあるからである。つまり、新卒の就職活動でうまく仕事に巡り合えなかったとしても、それは特に大きな問題

ではなくなってきたことを意味している。

また若手のビジネスパーソンを中心に社会人大学院に通ったり、海外の大学院に留学したりする人が増えていることも同じ文脈でとらえることができる。つまり、「一社で一生」という終身雇用の枠組みが緩み、若手のビジネスパーソンは一社だけの文化ではなく、他社や海外のビジネス文化も含めた社外の世界を学んでおくことが有利に作用する環境が出てきた。これも「一斉に入社、一斉に定年」という価値観が全盛の時代には起こり得なかったことである。

日本の大手企業の新卒採用の基準が変わってきたその根底には、ビジネス社会のベースにあるこうした価値観の地殻変動がある。これはもはや不可逆的なもので、景気の変動などで昔に戻るといった性質のものではない。個人と会社の関係は、「一対一」の対応関係から、お互いが多数の選択肢を持つ関係へと変化している。

一方、大学にとっては企業への就職は「出口」に相当する。「出口」の向こう側で終身雇用の文化が崩れ、価値観が大転換すれば、大学の文化も変わらなければならないのは当然である。すでにその動きは始まっているし、その流れは加速しつつある。

明日は変わる「就活」時代の終わりの始まり(01/07)です。

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目次
はじめに(12/24)


第1章「就活」の時代は終わった
「就活」は賞味期限切れ(12/25)
誰が次世代の人材を育てるのか(12/26)
企業への「所属」は頼りにならない(12/27)
安定とは休みなく進化しつづけること(12/28)
終身雇用と新卒採用は一体だった(12/29)
有名大学至上主義の背景(01/04)
なぜインターンシップが増えたのか(01/05)
変わる個人と会社の関係(01/06)
「就活」時代の終わりの始まり(01/07)


第2章「就活」の<ステップ0>
勝負はスタート時点でついている(01/08)
料理のおいしさは素材で決まる(01/09)
すぐに<ステップ0>を始めよう(01/10)
就活の「早期化」はほんとうに問題なのか(01/11)
学生のキャリア意識の高まり(01/12)
研究室と企業の関係(01/13)
人を育てる機能をどこが担うか(01/14)
企業から人材育成力が失われた(01/15)
みんなで人を育てよう(01/16)
「学び」と「仕事」を共存する(01/17)
「プロ学生」の時代がやってくる(01/18)
社会で役割を果せる力をつけろ(01/19)
目次の続きはこちら


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