2010 年 1 月 4 日

有名大学至上主義の背景

by koji

これが日本的雇用慣行の「三種の神器」と称される「終身雇用」「年功序列」「新卒一括定期採用」という習慣が出来上がってきた大まかなプロセスである。会社で「成果が出せるかどうか」よりも会社に「所属していること」が重視され、それが第一の目的になってしまうような考え方が生まれてきたのは、こうした背景が継続していたからだ。

新卒採用とは、基本的に過去に仕事経験がない人を採用することなので、実務のスキルのレベルで人を判断することが難しい。したがって何で判断をするかといえば、実務を教えて仕事の経験を積んだ後に、会社が望むような高い成果を出してくれる人になれるかどうか――潜在力――を基準にするしかない。人間としての基礎能力の高さ、簡単に言ってしまえば「頭が良いかどうか」が最も重視された。

この「頭のよさ」に関しては、かなりの程度は大学入試の成績によって判断することができる。大学入試の成績は人の能力のうちの一部でしかないが、論理的思考能力の高さや記憶力の強さ、コツコツと真面目に努力を続ける能力――といったようなことは、大学入試の成績でもってかなりの確からしさで判断することができる。だからこそ日本の大手企業は長いこと、専門知識やスキルの高さなどはほとんど問わず、潜在能力(ポテンシャル)の高さを重点に新卒採用を行ってきたのである。偏差値の高い大学から大手企業の採用が多かったのは、順当な結果だと言えるだろう。

要は日本の企業がとってきた終身雇用の雇用習慣が、大学の偏差値で人を判断するという判断基準を産んできたのである。言い方を変えれば、日本の大手企業における「終身雇用」と「上位校中心の新卒一括定期採用」、そして「有名大学至上の受験競争」という3者は一体不可分のものだったのである。

明日は「なぜインターンシップが増えたのか」(01/05)です。

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目次
はじめに(12/24)


第1章「就活」の時代は終わった
「就活」は賞味期限切れ(12/25)
誰が次世代の人材を育てるのか(12/26)
企業への「所属」は頼りにならない(12/27)
安定とは休みなく進化しつづけること(12/28)
終身雇用と新卒採用は一体だった(12/29)
有名大学至上主義の背景(01/04)
なぜインターンシップが増えたのか(01/05)
変わる個人と会社の関係(01/06)
「就活」時代の終わりの始まり(01/07)


第2章「就活」の<ステップ0>
勝負はスタート時点でついている(01/08)
料理のおいしさは素材で決まる(01/09)
すぐに<ステップ0>を始めよう(01/10)
就活の「早期化」はほんとうに問題なのか(01/11)
学生のキャリア意識の高まり(01/12)
研究室と企業の関係(01/13)
人を育てる機能をどこが担うか(01/14)
企業から人材育成力が失われた(01/15)
みんなで人を育てよう(01/16)
「学び」と「仕事」を共存する(01/17)
「プロ学生」の時代がやってくる(01/18)
社会で役割を果せる力をつけろ(01/19)
目次の続きはこちら



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